没落令嬢の奴隷生活 第10話 脱走

 夜明け前に娼館を出る。
 見張りは数人程度。これでは死角なんていくらでもある。拘束されているわけでもない。
 ほとんど衝動的に動いたようなものだったが、想像していたよりも遙かに容易だった。

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没落令嬢の奴隷生活 第9話 妊娠

 奴隷娼婦としての毎日が1年近くも続くと、娼館の中だけが世界のすべてであるかのような気がしてきた。
 私は本当に侯爵令嬢だったのだろうか。生まれた時から奴隷だったのではないだろうか。たまにそう思う。
 もし、肌や髪の色が皆と同じで、言葉も通じたなら、本気で妄想に取り憑かれていたかもしれない。
 けれど実際は違う。私は異国の生まれだし、教養もある。
 今となっては遠い記憶の中にしかないが、贅沢三昧の日々を忘れたことはない。
 それゆえに、いつまで経っても祖国への未練を捨てられず、未だにひっそりと泣いてしまうことがあるのだけど……。

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没落令嬢の奴隷生活 第8話 暴力

 何人もの客を相手にしていれば、特殊な性癖を持った客が来ることもある。
 女性を鞭打つことで興奮を覚える客は恐怖の対象だった。
 使用されるのは遊び用の小さな鞭だが、それを目にするだけで私の額には脂汗が浮かんだ。
 背中の鞭跡にも じんわりと汗が滲む。

 鞭打ちは娼館が認めており、拒むことはできなかった。
 軽く鞭を当てられるだけで悲鳴を上げる私を客たちは面白がり、結果として余計に いたぶられることになった。

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没落令嬢の奴隷生活 第7話 初体験

 最初に私を買った客は、ずいぶんと高い金を出したようだった。
 私の国でも処女には特別な意味があるが、遙か遠方のこの国でもそれは同じらしい。

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没落令嬢の奴隷生活 第6話 娼婦

 港近くの奴隷市場は盛況だった。
 野菜や果物が売られている横で、次々に奴隷が引き立てられ、全裸にされ、競りに掛けられていく。
 全裸にされるのは、体付きを披露するためだ。肉体労働には耐えられそうか。病気にはなっていないか。買う側は真剣に吟味して、値段交渉をする。

 商人たちには、奴隷を見下したり嘲笑したりする様子が一切なかった。
 奴隷は商品に過ぎないのだ。
 商品を嘲る者は居ない。彼らの興味は、金を出す価値があるかどうか。それだけである。

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